しっかり治療するためには、まずニキビの原因を知ることが大切です。
ニキビ治療の原因を知る
ニキビの主な原因には
- 皮脂の分泌が増える
- 毛穴が詰まる
- アクネ菌の繁殖
この3つが関与します。
次に、この3つの要因が関与し、どのようにニキビが発症するかをご説明いたします。
ニキビの発症機序
STEP 1:微小面ぽう
「微小面ぽう」とは、
- 主に男性ホルモンの影響で皮脂の分泌が過剰になり
- さらに複数の要因が重なり毛穴の入り口が詰まることで
毛穴に皮脂が溜まり始めた状態を言います。
微小面ぽうは、まだ目には見えませんが、ニキビはこの状態から発生します。
STEP 2:面ぽう
さらに毛穴に皮脂が溜まることで毛穴が盛り上がり、目に見える状態になったのが「面ぽう」です。
もともと、毛穴に存在するアクネ菌は、皮脂を好み酸素の少ない環境で増殖しやすいため、発育に好都合な面ぽうの中で増殖します。
STEP 3:赤いニキビ
毛穴の中で過剰に増殖したアクネ菌は、炎症を起こす物質をつくります。そして、炎症が起こると、皮膚は赤く盛り上がって「紅色丘疹」(赤いニキビ)になります。炎症が進んで周囲まで広がると、膿を伴うようになります。
STEP 4:化膿したニキビ
さらに、炎症が進むと、毛穴の壁が壊され、内容物が真皮に漏れ膿の袋ができて「嚢腫」になったり、硬く盛り上がって「硬結」ができます。
ニキビの治療 (保険診療編)
ニキビの主な3つの原因
- 皮脂の分泌が増える
- 毛穴が詰まる
- アクネ菌の増殖
に沿って、治療法をご説明いたします。
①皮脂の分泌亢進に対する治療
皮脂の過剰な分泌は、主に男性ホルモンの影響です。
思春期にニキビができるのは、この時期に男性ホルモンの分泌が増えるからです。
また、成人女性で口周りや顎、フェイスラインにニキビが生じるのも、男性ホルモンの影響を受けているためなのです。
【有効な治療法】
注:これらの治療は自費診療となります。
②面ぽうに対する治療
面ぽうは、毛穴の入り口(毛包漏斗部)での、お肌の細胞(表皮角化細胞)の分化・成熟(角化)が亢進することで毛穴(毛包)が詰まり生じます。
そこで、面ぽうの治療としては、毛穴の詰まりを取り除くことが必要となります。
この作用を持つ塗り薬として
有効成分:アダパレン
アダパレンは、毛穴の入り口の細胞の分化を抑制し、角質層が薄くなることで角栓を消失させます。
Dr.コメント
毛穴の詰まりを取る作用としてはBPOより強いため、面ぽうが主体のニキビや、ニキビの予防にはディフェリンがお勧めです。
有効成分:過酸化ベンゾイル(BPO)
過酸化ベンゾイル(BPO)は、角層剥離作用=ピーリング作用を持ちますので、角層の剥離を促すことで、毛穴の入り口の詰まり(角質肥厚)を改善させます。
Dr.コメント
面ぽうに赤ニキビが混在している場合は「抗菌作用」を併せ持つBPOがお勧めです。BPOは2015年に発売開始となった新しいニキビ薬ですので、これまでのニキビ治療に満足されなかった方にもお勧めですよ。
過酸化ベンゾイル(BPO)についてさらに詳しく!
BPOを有効成分とする塗り薬には【ベピオゲル】と【デュアック配合ゲル】の2種類があります。BPOには、「角層剥離作用」と「抗菌作用」の二つの作用があり、面ぽうに対しては、「角層剥離作用」が効果を現します。
【ベピオゲル】と【デュアック配合ゲル】の違いは、【デュアック配合ゲル】には、BPOにクリンダマイシンという抗菌薬が配合されている点です。
③赤ニキビに対する治療
毛穴の中で過剰に増殖したアクネ菌は、炎症を起こす物質をつくり炎症を進行させます。赤ニキビに対しては、ニキビ菌に対する抗菌作用を持つ薬が有効です。
抗菌薬の外用
アクネ菌などの細菌に対し、殺菌的な抗菌作用を示します。以前より処方しているアクアチムやダラシンTゲルに加え、2016年にゼビアックスローションも加わりました。
過酸化ベンゾイル(BPO)
BPOは強力な酸化剤です。塗った直後から分解されてフリーラジカルを生じ、このフリーラジカルが直接アクネ菌の膜構造、DNA、代謝などを阻害し「抗菌作用」を発揮します。
抗菌薬の内服
中等症以上のニキビには抗菌薬の内服を併用します。ただし、長期間飲み続けることはなく、炎症が落ち着いたら外用薬だけで治療していきます。
BPOの「抗菌作用」についてさらに詳しく!
アクアチムクリームやダラシンTゲルなどの『抗菌外用薬』も、『BPO製剤』も、ともに「抗菌作用」がありますが、BPOの抗菌作用は抗菌外用薬のそれとは機序が異なります。
アクネ菌は「皮脂を好み、酸素を嫌う」性質があり、酸素があると死滅する「嫌気性菌」に分類されます。BPOは強力な酸化剤であるため、その酸化作用によってアクネ菌を死滅させ、「抗菌作用」を発揮します。
そして、最も重要なポイントは【BPOの抗菌作用は薬剤耐性菌を作らない】という点です。抗菌薬は長期に使い続けると、耐性菌と言って薬に効かない菌が出現することがあり問題となっていますが、BPOではその心配がありません。
実際の治療方法
2016年にニキビ(尋常性ざ瘡)の治療ガイドラインが改訂されました。
ガイドラインでは、ニキビの治療を『急性炎症期』と『維持期』に分類。
『急性炎症期』は、赤いニキビを主体とした状態で、炎症に対する積極的な治療が必要な時期であり、
『維持期』は赤いニキビが軽快後の時期で、面皰が主体の状態です。この時期には軽快した状態を維持するために面皰に対する治療を継続します。
上の図は、ガイドライン2016を簡単に示したものです。
『急性炎症期』では、【軽症】、【中等症】、【重症・最重症】の重症度でさらに分類し、『維持期』では、【面皰主体でわずかな赤ニキビの状態】と【(微小)面皰のみ】の状態に分類されています。
そして、治療を行うよう強く推奨する:推奨度Aの中でも上位にあるものほど推奨度が高いものとして示されています。
当院のニキビ治療 3つの特徴
患者様ごとに合った治療法をご提供いたします
ガイドラインはあくまで、治療の参考にするものであり、一律に全ての患者様に当てはめるものではありません。
当院では、患者様ごとにニキビの症状や、塗り薬の効果・反応を見ながら細やかに治療法を決めていきます。
これまでのニキビ治療に満足されなかった方も、是非一度ご相談下さい。
スキンケア指導もいたします
お薬の処方だけではなく、ニキビ肌に合った基礎化粧品のご案内もいたします。
また、ニキビでお悩みの女性が安心してお使いいただけるファンデーションもご用意しております。
「ニキビだからメイクは禁止!」とは言いません。
女性医師ならではの目線でスキンケア指導をいたしますので、「どんな化粧品を使ったらいいのか分からない」という方もご安心ください。
適宜漢方薬も併用します
漢方薬は、赤ニキビの炎症を抑えたり、体質を改善することでニキビのできにくい体に整えることを目的とします。
患者さんごとに、ニキビの状態や体質をみながら漢方薬を処方いたします。
【ニキビで処方することの多い漢方薬】
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 加味逍遙散(かみしょうようさん)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 温経湯(うんけいとう)
- 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
- 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)
保険診療でカバーできない自費診療も可能です
残念ながら、通常の保険診療での治療を行っても治りにくい重症のニキビの方もいらっしゃいます。
そのような重症ニキビの方には、自費診療にはなってしまいますが、
- ホルモン治療
- イソトレチノイン治療
を受けていただくこともできます。
また、それ以外にも
- フォトフェイシャルM22のアクネ治療
- ケミカルピーリング&イオン導入
- アゼライン酸やトレチノインの外用
などのニキビ治療を当院ではご用意しております。
【ニキビ跡をつくらせない】をモットーに幅広い選択肢をご用意していますので、これまで保険診療で治りにくかった方もご相談ください。
ニキビの診察希望の方へ
当クリニックでは一般皮膚科の問診票とは別に、ニキビ治療専用の問診票をご用意しております。ニキビ治療初診の方は、下記の問診票(PDF)をダウンロードしてご記入のうえ、ご来院ください。 待ち時間の短縮、ていねいな問診のため、ご協力をお願いいたします。