プロバンサインは、日本で唯一、多汗症に対する保険適用を有する抗コリン薬です。
エクリン汗腺の交感神経から発汗の指令を受け取る部分をブロックすることで、発汗を抑えることが期待できます。
治療の適応となる方
手足やわきの多汗症には、外用療法、イオントフォレーシス、ボトックス注射がお勧めです。それらの治療が無効の症例にのみ、プロバンサインの内服を検討します。
ただし、中等度から高度の顔面や頭部の多汗症においては、日常生活への支障を考慮して、プロバンサインの内服を第一選択とします。
プロバンサインの特徴
特徴1
即効性が特長で、服用後1時間ほどで効果が現れ、約5時間効果が継続します。
特徴2
内服薬のため、一度の服用で全身の汗を抑えることが可能です。
用法用量
成人には1回1錠(15mg)を1日3~4回経口投与する。
注意事項
次のような方は服用できません
・閉塞隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
・前立腺肥大による排尿障害のある患者
抗コリン作用により、交感神経が優位になり、膀胱括約筋収縮・排尿筋弛緩のため、排尿障害が悪化するおそれがある。
・重篤な心疾患のある患者
心臓の鼓動が強く心拍数が著明に増加するおそれがある。
・麻痺性イレウスのある患者
腸管の運動機能を抑制し、閉塞状態を悪化させるおそれがある
・小児に適応はありません
次の人は、特に注意が必要です。使い始める前に医師に相談してください。
・前立腺肥大のある人
排尿障害を起こすおそれがある。
・開放隅角緑内障の患者
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
・甲状腺機能亢進症、うっ血性心不全、不整脈のある患者
交感神経が優位にたち、心拍数が増加する可能性がある。
・潰瘍性大腸炎のある患者
消化管運動抑制により、中毒性巨大結腸を起こすおそれがある。
・高温環境にある患者
発汗抑制が起こり、体温上昇のおそれがある。
・妊娠または妊娠している可能性のある人
・授乳中の人
・高齢者
抗コリン作用による眼の調節障害、口渇、便秘、排尿障害等があらわれやすい。
※眼の調節障害、眠気を起こすことがあるので、本剤を服用中の方は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないこと。
副作用
他の薬との飲み合わせについて
〇三環系抗うつ剤(イミプラミン、アミトリプチリン)
〇フェノチアジン系薬剤(プロクロルペラジン、クロルプロマジン等)
抗コリン作用が相加的に増強されるおそれがあり、プロバンサインの作用が増強されることがあるので、用量を調節するなど注意する。
〇モノアミン酸化酵素阻害剤
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤は、MAO以外の薬物代謝酵素も非特異的に抑制することがある。プロバンサインの作用が増強されることがあるので、用量を調節するなど注意する。
〇ジゴキシン、メチルジゴキシン
プロバンサインの抗コリン作用に基づく消化管運動の抑制により、ジゴキシン、メチルジゴキシンの消化管内の滞留時間を延長し、吸収を高めるおそれがあるため、循環器内科の主治医の意見を聞いたうえで慎重に投与する。